帚木 蓬生
エンブリオ (上)

今 この本を読んでいる。

おりしも報道では


>ヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から肝細胞をつくることに国内で初めて成功した。

将来は人工肝臓にも応用できる


などと騒がれているのだが。


私はもともと医学(ミステリー含む)物が好きで なんでも読んでいるが

この作者の作品も 文庫になっているものはたいてい読破した。


既に現代医療でも用いられている 臍帯血移植。

この本はその何歩も先を行っている。


つまり 生まれることがなかった命。

不妊治療に使われ 余った卵子。

そういったものを用い、そのままの形で、また組織のみを凍結・培養することにより

生殖操作や再生医療のハードルをあっさり越えた治療を行うというはなしである。 


現代の医療のタブーを侵した医療ミステリーは

とても緻密に書き込まれ 読んでいるものを飽きさせない。

ただ 人の命をモノとしてビジネスに活用するという風潮は

現代社会でも徐々に浸透しつつあるようだが

私個人としては 生殖は神の領域として

残しておいて欲しいと思うのだが。